食い違う意図【アシストを無碍にするポンコツ先輩】

とあるお客さんへ退職の挨拶も兼ねて最後に、前から進めてきた商談の続きを行った。料金的な条件が合わなかったから、その話が纏まることは無かったが、代替案として別の提案を数パターン示唆してきた。後日、オレが辞めてから担当になる上司が如何様にも料理出来る材料だ。こんなのもありますよ、と種を蒔いて反応を見て、今後の商談の方向性もある程度伝えたので、後日ポンコツ上司が自分の好きなように提案すれば良いと思った。


一度商談がうまくいかなかったからと言って、それで終わらせず、次に繋げた。完璧だ。お世話になったポンコツ上司への絶妙なパスだ。


問題は、その日の日報だった。
その上司は文章の理解に乏しく、簡潔に書いても想像力で補うことが出来ないし、かと言って、全て書いても長い文章を集中して読むことが出来ない。わからないとパニックになってキレてしまうので、適当な文章量を考えて、その日の日報を書いた。しかし、書き直しを命じられた。不毛な仕事の一つだ。


特に気になったポイントは、商談が全てうまくいった後の商品の受け渡し方法や、それに伴う書類の準備といった「商談後の取り決め」が書かれていない点だったらしい。


オレは「アホか?」と思った。


商品うんぬんの前の商談をしている段階なのに、何でその心配が一番に来るんだ?と思った。
今の段階では特に決めてもないし、決める必要もない。


そんなもんは、ポンコツ上司が担当になってから、それこそどうにでもしたら良い些細すぎる問題である。フツーの上司は読めば、大枠を把握し自分(上司)が何をすれば良いのか理解に至る。
こいつは1から100まで書かないと理解出来ないのか?とガックリしたし、100まで書いたら長すぎて最後まで読めないだろうし、ひたすらめんどくさかった。


変なとこにこだわり、変なとこにうるさいポンコツ上司の対処法が結局最後までわからなかったな。


誰がどう見ても着眼点がおかしい。


その理由として一番に浮かんだのが、営業として売上・利益を求めているのではなく、失敗しないでやり過ごすことを優先的に考えているのではないかということだ。


その人は間違いなくそのタイプだが、今回のズレとしては「お客さんをまともだという前提で見ていないこと」にある。


確かに、こちらの言うことを全く無視して無茶苦茶する客は存在する。ルールを守らず自分の要望だけを言ってくる無茶苦茶なお客さんだ。


恐らく、その上司は「全てのお客さん=厄介なもの」という前提があるため「無茶苦茶なお客さんに厄介なことをされる」という発想に至り、絶妙なパスを出した部下に対して「爆弾を残して去るのか」と暴言を吐くに至ったのだろう。


今回の転職活動を通して学んだことがある。


思ったことを言えないとか、会社に不満があるけど辞めないとか、自分の要望を叶えられないというのは自分の弱さに起因するのだ。


役員だろうが「お前は次の職場で通用しない」と言われれば「じゃあ、○○(役員)さんは、今現役に戻ったら目標達成出来ますか?」と返したし、必死に隠してきた転職先もとうとう公表した。隠す必要がないと思ったからだ。


言い返すべきところで言い返したい要望、言いたいことを言う要望をオレは叶えたのだ。


そして、自分に対する要望として「思いたいことを思う要望」はランキングでもトップにくるのではないか。


本日、ポンコツ上司に対して、心から、素直にゴミだなと思えたことで、思いたいことを素直に思う大切さと難しさをなんとなーく感じるに至ったのである。

肝心のポンコツ上司に言い返さなかった点で、まだまだだが笑